なぜこの姿勢になってしまうか

●筋力が衰えてくると”面倒くさがり”になるんです

(筋力低下についてはこちら

筋力が低下した際に出てくる特徴には様々なパターンがありますが、特によく見かけるのがこの”面倒くさがり”パターンです。

これはつまり「疲れる動きはしたがらない」ということです。

例えば立っている時にペンを落としてしまったとして、あなたはどのように拾いますか?
たかだかペン一本拾うのに、ちゃんとしゃがんで拾おうとする人はあまりいないと思います。
なぜなら、重心を上下に移動するのはわりと疲れることだからです。

これは犬もおんなじ気持ちなんです。

●おすわりを繰り返すのはスクワットと同じ

スクワット、何回できますか?

スクワットって股関節と膝関節と足首を曲げてしゃがんで立ってを繰り返す動きですよね?
犬がおすわりした際の後ろ足は、ちょうど人間がしゃがんだ状態と同じです。
つまり立ち上がったりおすわりしたりを繰り返すのは、スクワットするのと同じことなのです。

●筋肉に対する負荷を考えてみましょう

スクワットって、しゃがむのと立ち上がるの、どちらがつらいですか?

これは、たぶん1・2回くらいなら「立ち上がる方」と答える方もいらっしゃると思いますが
本当にきついのは「しゃがむ方」なのです。
嘘だと思ったら50回繰り返してみて下さい。きっとわかります。
(登山でも登りは平気でも、下りで膝が笑っちゃいますよね)

つまり、筋力が衰えてくると犬もしゃがむのがつらくなってくるのです。
その結果現れるのが「きちんと座れず、どさっとお姉さん座りのように座ってしまう」というサインです。

●膝を使わないロボット歩きは筋力低下が更に進んだサイン

おすわりの時ほど大きな動きではないですが、歩いている時も膝を使っているんです。

この写真は、1~3にかけては足を前に引き出す際。
そして4~6は後ろに蹴りだす際の動きをキャプチャーしています。

犬は歩行時、体重が乗っている足の関節はあまり動かしませんが、後足は推進力を産みだす大切な役割があるので、最後の蹴りだし(No.6の写真時)には膝を伸ばします。

ただし、そのまま後足を前に引き出すと、当然つま先が地面を擦ってしまいます。
なので、通常は膝を曲げて前に引き出す(No.2の写真時)のですが、膝を曲げたということは、次の瞬間また膝を伸ばさなくてはいけません。

筋力が低下してくると、この繰り返しがつらくなってくるのです。
その結果どうなるかというと、「膝を曲げずにつま先(爪)を擦りながら歩く」もしくは「足を外に振り回しながら前に引き出す」といった歩き方になってしまうのです。

おすすめセルフケア

もも裏ほぐし

ワンちゃんのお尻から矢印の方向に触ると坐骨に触れられます。
ほぐしたい筋肉は全て坐骨から出ている筋肉なので、坐骨を見つけて、その下を触ると、上記の筋肉が見つけられます。

親指と四本指で挟んで、なるべく指の腹の広い面積で揉み解すようにしてください。

お尻のマッサージ

ワンちゃんがリラックスして横になっている状態で、尻の骨盤の上をさすってほぐします。
掌か、四本指の腹の部分でなるべく設置面積を広くしてケアしてください。
他の部位に比べ、軽くほぐすようにしてください。施術時間は5分以内が理想です。

もも裏のトレーニング

モモの裏の筋肉を、ワンちゃん自身に動かしてもらうために行うトレーニングです。
モモの裏に手を当ててもう一方の手でワンちゃんの足の指を一本つまみ、そこを引っ張って膝をのばしていきます。
引っ張っている際にワンちゃんが引き返してくれたり、もも裏に力が入ったら成功です。
逆に押して膝を曲げていき、ワンちゃんが押し返してくれても成功です。

胸の筋をほぐす

胸の筋肉をマッサージします。
イラストのように、指先ではなく指の側面の平らな部分でほぐしていきます。
胸の中央に“胸骨”という骨があります。その骨から腕の付け根方向へ、少し強めに押し付けるようになでて ください。

ふくらはぎほぐし

ふくらはぎは、人間のふくらはぎより上にあるイメージです。
膝の裏つまむようにして揉みますが、関節に近づきすぎないように気をつけてほぐして下さい。
ふくらはぎがほぐれにくかったら、パッドの少し上を握り親指で図の部分をほぐしてください。

前ももトレーニング

①ワンちゃんが横になってリラックスしている状態、もしくは抱っこした状態で、後ろ足のパッドを優しくつかんで真下に引っ張ります。
②そのまま引っ張ると、ワンちゃんが抵抗します。
③ワンちゃんが抵抗したのを感じたら、手を離してください。引っ張りに対して抵抗する時が、鍛えたい前モモのトレーニングとなります。

前肢のストレッチ

片手を肩に置き、もう一方の手で肘のあたりをやさしく掴み、尾側へじっくりとストレッチします。

その後、頭側へ引き出します。
ストレッチは反動などはつけずに、じっくり行ってください。
一回のストレッチは40秒ほど行います。動きが固かったり、わんちゃんが嫌がったら無理に引っ張らないで、できる範囲で行って下さい。