なぜこの姿勢になってしまったか

●股関節がバランスよく使えていないから

腰で股関節の動きをカバーしているため、腰椎を痛めたり、湾曲してしまう危険性もあります。
お尻を振る歩き方は可愛いですが、残念ながらあまりいいことではないんです。

胴の長い子がヘルニアになりやすい理由を知っていますか?

 

人間は二足歩行だから、背骨に負担のかからない姿勢(きれいに背骨がS字の湾曲を保っている状態)ならば、椎体間にねじれた負担がかかって滑ったり変形したり、はたまた椎体版を押し出しちゃったりしないものなのです。

ですが犬は四つ足ですので、人間のように「姿勢が良ければ負担がかからない」というわけにはいかないのです。

例えば背骨をまっすぐに保つにしても、そのように自らの筋力で維持しなければ、重力に負けて反ってしまうはずですからね。

上図のように前後、左右にどちらも偏りなく動いていて、問題なく動けているなら大丈夫なのですが、どちらかに偏った動かし方をしていると、当然腰椎もそちらに湾曲していってしまいます。
その際に椎体が歪んで椎間板を圧迫してしまったら、ヘルニアの危険性がでてくる。というわけなのです。

●なぜ腰を振ってしまうのか

そもそもなぜ腰をふる歩き方をしてしまうのか?

人間にはたいてい利き手がありますし、足にも軸足と利き足(ふらついたときに一歩出る足)がありまよね。
それがもとになり歪みが発生するのですが、犬にもやはり「体重をかけやすい足」や「蹴りだしが強い足」があるものなのです。

例えば右後ろ足の筋力が強い子がいたとします。
若いうちは問題なくても、老化と共に筋肉も固まりやすくなっていくので、もともとは単なる筋量の差だったものが、コリの差になってしまうのです。

コリがあるとその関節の可動域が制限されてしまいます。



上図のとおりだと、
右のモモ裏のコリのために右後ろ足を前に引き出す際の可動域に制限がでてきてしまいます。

ですが左右の歩幅は合わせなくてはいけません。
だからどうするかというと、腰を振って右後ろ足を前に出そうとするんですよね

逆に右前ももに強いコリがあれば、こんな感じに腰を振ります。

おすすめセルフケア

足指マッサージ

足の指をほぐすことで足首の動きをよくすること、そして足先へつながる神経のつながりを強めることができます。
まず、足の指を一本ずつつまむようにほぐします。
その後、写真のように足のひらをグーパーと動かしてストレッチします。
片足3分ほどをめどに刺激を与えて下さい。

もも裏ほぐし

ワンちゃんのお尻から矢印の方向に触ると坐骨に触れられます。
ほぐしたい筋肉は全て坐骨から出ている筋肉なので、坐骨を見つけて、その下を触ると、上記の筋肉が見つけられます。

親指と四本指で挟んで、なるべく指の腹の広い面積で揉み解すようにしてください。

前ももマッサージ

前モモの筋肉を下の写真のように前から揉みます。
大腿骨に押し付けるようにして、 指の腹と骨(大腿骨)で筋肉を挟むようにしますが、写真のように指を並べて、なるべく広い面で当てるようにしてください。
そもそも、前モモはそれほど凝り固まっている部位ではないので、あまりしつこくゆるめる必要はありません。片足3分ぐらいを目安にマッサージして下さい。

お尻のマッサージ

ワンちゃんがリラックスして横になっている状態で、尻の骨盤の上をさすってほぐします。
掌か、四本指の腹の部分でなるべく設置面積を広くしてケアしてください。
他の部位に比べ、軽くほぐすようにしてください。施術時間は5分以内が理想です。

前ももトレーニング

①ワンちゃんが横になってリラックスしている状態、もしくは抱っこした状態で、後ろ足のパッドを優しくつかんで真下に引っ張ります。
②そのまま引っ張ると、ワンちゃんが抵抗します。
③ワンちゃんが抵抗したのを感じたら、手を離してください。引っ張りに対して抵抗する時が、鍛えたい前モモのトレーニングとなります。

腰のマッサージ

写真のように、背骨をはさむように、両側から親指の腹で押します。背骨のきわから指三本分までの幅を、丁寧にほぐしてください。