なぜこの姿勢になってしまったか

●前足の動き=肩甲骨の動き

(肩甲骨のゆがみについてはこちら

肩甲骨は通常35度から45度の角度でついています。

肩甲骨が歪むとき、たいていの場合がこのように変化していきます。

このような状態を”肩甲骨が立つ”と表現します。

肩甲骨が立った結果、前足の位置は後ろへ行き前足を前に出しにくくなって、歩幅が狭くなるという変化が起きてしまいます。

その姿勢がなぜ悪いか

●首が下がることにも繋がる

しかし、骨格の変化としてはそれだけにとどまりません。
犬の肩甲骨の下部には後頭部や顎下とつながる筋肉があるのです。

この筋肉は前足を前に引き出す際に働くのですが、肩甲骨が立ってしまうと、この筋肉に引きずられて首が下がってしまうのです。

そのため、肩甲骨が立ってしまった状態で前足をしっかり前に出そうと思ったら、首を引き上げなくてはいけません。
結果、歩いている時に首が上下してしまうのです。

●前足が空転する

歩いている時の前足の基本の動きです。


よくよく観察してみてください。
肩関節や肘関節は動かずに、肩甲骨が動いているのがわかりますか?

これが本来の犬の前足の動きなのですが、肩甲骨が立って固まってしまった場合、この動きに可動制限がかかってしまいます。


だけど前足を前に出したい場合、本来動かさない瞬間に肘を大きく曲げて、前方に空をかくようなしぐさになってしまうのです。

おすすめセルフケア

前肢ほぐし

この部位の筋肉は、立っている時に体を支える大切な筋肉です。
脇の下部分は、写真のように親指と他の四本で大きくはさむようにしてもみほぐします。
指の腹で、こりこり硬い筋肉をゆるんだのを感じるように気をつけながらほぐします。

首のマッサージ

首周りをマッサージしてください。
わんちゃん達は、普段の生活でいつも上を向いているので、この筋に負担がかかっています。

写真のように頭の付け根からはじめて、首の筋肉を両横から挟むようにマッサージします。

そのまま徐々にさがっていき、下の写真のように肩甲骨のちょっと上までほぐします。

前肢のストレッチ

片手を肩に置き、もう一方の手で肘のあたりをやさしく掴み、尾側へじっくりとストレッチします。

その後、頭側へ引き出します。
ストレッチは反動などはつけずに、じっくり行ってください。
一回のストレッチは40秒ほど行います。動きが固かったり、わんちゃんが嫌がったら無理に引っ張らないで、できる範囲で行って下さい。

胸の筋をほぐす

胸の筋肉をマッサージします。
イラストのように、指先ではなく指の側面の平らな部分でほぐしていきます。
胸の中央に“胸骨”という骨があります。その骨から腕の付け根方向へ、少し強めに押し付けるようになでて ください。

背中のマッサージ

写真のように、背骨をはさむように両側から親指の腹で押します。
ほぐす範囲はきっちり定めず、周辺広い範囲でほぐして大丈夫です。
ほぐす前に掌で全体的に背中をなでてみて下さい。特に硬い部分が見つけられるようになれば、より確実にほぐせます。
背骨のきわから指三本分までの幅を、丁寧にほぐしてください。