先日病院で施術したコーギーちゃんについての考察をまとめたいと思います。
10歳のコーギーDちゃんは
3歳の頃から左後ろ足の靭帯がゆるんでいるといわれ
若い頃からそれほど活発ではなかったそうです。
症状
半年前に後ろ足を引きずるようになり
数週間前から立ち上がれない日が増えてきた。。ということでした。
からだの状態
横になっている姿からではちょっと分かりにくかったのですが
背中を触ってみると、背中の両脇の筋肉が
左右で感触がまったくことなっていました。
Dちゃんの背中をイラストにすると、こんな感じです。
これは実は、実際触って
このように湾曲を感じ取れるわけではありません。
”コリ”の種類
筋肉の凝固まりには二種類あって
“縮んで凝固まっている”状態と
“伸びて凝固まっている”状態に分かれます。
これらのコリは、同じように筋肉が硬くなり、動かしにくい状態にはなっているのですが
根本的な”施術の方向”が違ってきます。
Dちゃんの背中はこの二種類に挟まれていて
このような状態でした
そのため、背中が逆C字の方向に湾曲している、と判断しました。
歪みの確認方法
背中の湾曲を見るのにもうひとつ有効なのが
“肋骨の広がり”です。
⇒⇒⇒
人間でもこのように側屈すると、脇の下や脇腹が伸びる感じがしますよね?
肋骨は本来呼吸に合わせて広がったり縮んだりします
背骨が湾曲していると、湾曲の内側は縮み、外側は広がります。
湾曲がある。ということははっきりしましたが
次に問題になってくるのが、この湾曲がなぜ起こったのかです。
歪みのもう一つの理由
Dちゃんの場合、湾曲の原因は左足の靭帯のゆるみでした。
犬は前足で静止時の体重を支え、
前進する時は後ろ足が推進力を生み出します。
Dちゃんは
左足がふらつき、蹴り出す力が生み出しにくい状態が続いた結果
左足を使わず、右で推進力を得ようとするため
右足を中心線に寄せると、結果骨盤が右に傾きます
背骨は骨盤の真ん中にある仙骨から伸びるので
骨盤が傾くと、背骨も必然的に右に傾いて伸びてしまいます
その傾きを途中で矯正するため、背骨が湾曲する。
というわけです
また、Dちゃんの体で特徴的だったのは
前足の使われ方でした
最期に。。。
ワンちゃんたちは
人間より素直に自分の置かれている状況を受け入れてしまえる。
と、私は思います。
ある日突然歩けなくなってしまったら当然はじめはビックリしますが
“そうか、私はもう歩けないんだ”と納得してしまう雰囲気があるんです。
Dちゃんは若い頃から左股関節を痛めていたため
歩けなくなってしまったことに対する抵抗があまりなかったのでは
と感じたのですが
飼い主様に効くと、やはり
“そうなんです。本人があまり気にしていない様子で
いつも通り笑顔で居てくれるのが助かります。”
と
それはとても良くわかります。
歩けなくなってしまったことに戸惑って
しょぼんとしているワンちゃんを見るのは
とても心が痛みます。
Dちゃんはそういう意味では、すんなり現状を受け入れられたようで
歩けなくなってしまってからはすぐに伏せの姿勢で
肘で這って移動するようになったそうです
這って移動していると・・・
本来ワンちゃんは、前足で体重を支える時に
肘を突っ張ることで上体を持ち上げているので
脇の下のこのエリアの筋肉がよく使われます
Dちゃんはこのように伏せの姿勢で肘を使って体を動かしていたので
肘を伸ばす筋肉は使用せずに
肩関節を動かす筋肉をよく使っていました。
肩関節を動かす筋肉は肩甲骨や肩甲骨を胴体につなげるものなので
ここに過剰に負担がかかると、
結果として肩甲骨の稼動域が狭まってきてしまいます。
後ろ足が使えない分、前足の状態を維持することが
とても大切になりますので
ぜひ十分にケアしていただきたいと思います。