○ 爪がねじれる
飼い主様が気になさっていたのは
後ろ足の爪が全部斜めに傾いていてそのまま歩いているようで、
斜めに削れてきてしまっている。
とのことでした。
そこでホック(人間でいう足の甲のあたり)を触ってみたところ
中足骨がねじれて固まっていました。
しかし実はこれ、指や足首の問題ではないんです。
犬の後ろ足は、後ろから見るとこんな風になっているものです。
骨盤から大腿骨、下腿、中足骨と、
まっすぐ降りて骨盤と大たい骨の関節の下に、
パッドがくるようになっています
ですがCちゃんの足はこのように
膝が開いてしまっていました。
膝が開いたために、膝から下は逆に
ぐっと内側に入り、その結果ホックがねじれて
地面に着くような形になってしまっていたのです。
要するに根本的な問題は、
股関節の角度(膝が開いてしまっていること)なのです。
○ なぜ膝が開いてしまったのか
残念ながら、私はCちゃんの
小さい頃の状態を知らないし
レントゲン画像を見たわけでもないので、
膝Cちゃん関節や股関節が本当にずれているのかは分かりません。
ただ、大切なことは
現在Cちゃんの足の関節はどれもちゃんと動いている。
ということ
そして足を着いても痛がるそぶりを見せないこと
さらに股関節や膝に腫れもなく、
触っても痛がらないところから見ると
もし過去に関節に問題があったとしても、今は問題ない。
ということが言えます
(逆に骨に異常があっても
幼い頃手術を避けた経緯を考えるとこの年で手術、
という選択肢は薄いと思います)
そこでCちゃんの後ろ足の筋肉の状態を調べると
前モモの筋肉が衰え、スジ状になっていること。
そしてモモの内側によく使われているらしき筋肉がある。
と言うことがわかりました。
前モモには、足を前に引き出す動き。
そして大半は膝を伸ばす動きに働く筋肉が存在しています。
前モモ・膝を伸ばす=立ち上がる。です
ココが衰えてしまったために
内モモにある
”膝を伸ばす=立ち上がる筋肉”
に頼っている。
というのが今のCちゃんの状態でした。
ここでひとつ解説します。
後ろ足の骨格
前述の通り、後ろ足の骨格を後ろから見ると
こんな風に、
股関節、膝、足首がほぼまっすぐ下に下りて
股関節の下にパッドが来るのが理想の姿勢です
内モモの力で立ち上がろうとする子は
Cちゃんのように膝が開くか
もしくはこのように閉じてしまう傾向があります。
この二種類の姿勢は、どちらも
“内モモが伸ばされている”状態です。
ボールを遠くに投げようと思うとき
皆さん振りかぶりますよね?
筋肉は縮んで力を発揮するものなので
その筋肉に頼ろうと思う時、
無意識にその筋肉を引き伸ばそうとするんです。
犬も同じで、
内モモに頼りたいがために、
内モモの筋肉が引き伸ばされる位置に膝をもっていくんですね。
こうして膝の位置がずれても
パッドは股関節の下にいないとバランスが悪いので
足首が無理にひねって、股関節下にねじ込まれます。
その結果ホック(足の甲の部分)がねじれて
爪が斜めにねじれてしまうんです。
言葉の伝わらないワンちゃんでも
体の変化のサインはいろいろな形で出ています
声にならないワンちゃんの声をぜひくみとってあげてください。