施術をお願いされたLちゃんの体のこと
まとめてみたいと思います。

カラダの状態

Lちゃんは まだ若いミニチュアダックスなのですが
4ヶ月ほど前にヘルニアで歩けなくなり、ハリ治療で歩けるまで回復しました。
ですが、どうも歩き方がおかしい ということでのご来院でした。
その子は

ダック巣2
イラストにすると、こういう姿勢になっていました。 通常だと

ダック巣1

(イラストが下手なのは置いておいて) こんな感じだと思います。
獣医師の診察の元
両膝関節のはまりが浅い ということもわかりましたが
とりあえず現時点で痛みはないようでした。

では

なぜこの姿勢になってしまったのか

Lちゃんの体は

ダック巣2

このような姿勢でした。
通常犬は 前足と後ろ足の荷重配分が7:3ほどで立っています。
ですがLちゃんの状態は

ダック巣7

後ろ足の負担を減らすために 前足荷重にしたい
これが通常のスタイルのワンちゃんなら
首を下げ気味にして背中を丸め
横から見ると 全体的に緩やかなカーブを描く猫背になるのですが

Lちゃんはダックスちゃんだので
イラストのようなラインになったようです。

そして上から見ると

ダック巣4
見事な逆三角形
通常なら

ダック巣3

こんな感じですよね。

ヘルニアで後ろ足が使えなかった間
Lちゃんは前足だけで移動していました

その後ハリ治療で歩行できるほどに回復はしましたが
まだ”歩けなかった頃の体の使い方”が癖となってのこってしまっていること
そして これはたぶんもともとですが
膝関節のゆるみがあり
それもあって 全体的に前足荷重のたち方になってしまっていたのです

ダック巣7

しかもLちゃんはダックスちゃん
この姿勢を人間で表現すると

ダック巣9 
こんな感じです

なぜLちゃんが逆三角形になっていたのか

ダック巣4 
それは 前足加重がたたって
前足に関わる筋肉が発達し
逆に後ろ足に関わる筋肉(特に殿筋)が衰えてしまっていたから
でした

逆三角のもう一つの理由

ちなみに
数ヶ月この状態で暮らしていたLちゃんは
前から見ると肘が外側にせり出しているような姿勢になっていました

これは上腕三頭筋という 肘の上、後ろ側にある筋肉が
発達しすぎて盛り上がり、
脇を絞めることができなくなってしまっていたからでした。

ちょうど ボディビルダーの方々が
筋肉が邪魔して腕を体側につけられない状態と同じです。

股関節が一時期痛かった
ということから 数ヵ月後にはこういった姿勢の変化も現れてしまうんですね。

Lちゃんの後ろ足

Lちゃんの体をさわって一番気になったのは
後ろ足の負担を軽減するために頑張っている背部から腰部にかけての筋が
張りすぎてとても硬くなってしまっていること。

特に腰部の筋肉は 本来以外の使い方をされていたので
余計にこってしまっていました。
本来以外の使い方、とは

“後ろ足を前に引き出す動き”でした。
つまり、 普通ワンちゃんたちは 

ダック巣6
基本は、前モモ近辺の筋肉で、足を前に引き出しています。
この筋が弱ってくると

ダック巣5
モモの筋肉を使わずに、 腰を振るようにして歩くようになるんです。
腰部の筋肉は本来そういう使い方をするものではないので
バリバリにこってしまったのですね。

ワンちゃんの背筋は人間の数倍の厚みを持っています
上記の通り、足を前に引き出す筋肉が弱ったワンちゃんは
腰を振るように歩くのですが その際、より筋力のある背筋郡も 自然と使うことになります。

背筋を必要以上に使ったため 背中がかちこちに固まってしまうと
肋骨が開いたまま硬くなり、結果呼吸が浅くなってしまいます。
これは夏には暑さに弱いワンちゃんには致命的なのです。

Lちゃんのようにヘルニアから回復し
歩けるようにはなったものの 以前と歩き方が違う・・・ というワンちゃんは、
ぜひ確認してもらえたらと思います。